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2016年3月21日 (月)

【長文注意】5年後の東日本大震災被災地と観光での復興応援・3/6:BRT気仙沼線

 当日記記事は、mixiに載せた日記「【長文注意】5年後の東日本大震災被災地と観光での復興応援・3/6:BRT気仙沼線」の自己転載です。

 これは、「食っていけなきゃ、(被災地の生存者は)生き残れない」という見地から、過去の拙日記記事「【長文注意】頭では自粛はいけないと分かっていても、「申し訳なさ」を感じる方へ~自分の立場でできることの一環としての提案」で提案した、「『泣きながら観光』というものがあってもいいじゃないか」という発想に基づいて、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災被災地を観光客として5年後に訪問した状況の、被災地の観光産業振興(産業連関波及効果を期待すれば全産業)の応援を趣旨とする観光案内と兼ねた報告の続きで、ここでは、JR東日本 BRT 気仙沼線について報告し、併せて、沿線の宮城県 登米市とめし)について紹介します。

 翌日・平成28年(2016日)2月22日(月)には1人単独で、JR東日本BRT(バス・ラピッド・トランジット,bus rapid transit) 気仙沼線で、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災の被災地域である、宮城県 登米市 ,ならびに宮城県 本吉郡もとよしぐん南三陸町を経て、宮城県 気仙沼市に行きました。

 平成28年(2016年)2月現在JR東日本 BRT 気仙沼線には、宮城県 仙台市仙台駅地図,住所:仙台市青葉区中央1丁目1-1)からJR東日本 東北本線小牛田駅(こごたえき)地図,住所:宮城県遠田郡美里町字藤ケ崎町117)に行き、小牛田駅地図)でJR東日本 石巻線に乗り換えて、石巻線前谷地駅(まえやちえき)地図,住所:宮城県石巻市前谷地字中埣136-4)で乗り換えれば、乗れます。或いは、前谷地駅地図)から、JR東日本 気仙沼線の鉄道存続区間の終点である柳津駅(やないづえき)地図,住所:宮城県登米市津山町柳津字谷木196)に鉄道で行き、そこで乗り換えてもBRT 気仙沼線に乗れます。小牛田駅地図)へは、JR東日本東北新幹線古川駅地図,住所:宮城県大崎市古川駅前大通1丁目7-35)に行き、古川駅地図)でJR東日本 陸羽東線に乗り換えても行けます。古川駅地図)経由で行く場合以外の行き方で起点になる仙台駅地図)へは、JR東日本東北新幹線等で行くことができる他、空路でお越しの方は、仙台空港地図,住所:宮城県名取市下増田字南原)に着いた後、仙台空港駅地図,住所:宮城県名取市下増田字南原)から仙台空港アクセス線仙台空港鉄道 仙台空港線東北本線)で行くことができます。

→  JR東日本公式WEBサイト

→  JR東日本気仙沼線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)(リンク先URLは2016年3月現在)

 以下の写真は、小牛田駅地図)で写したJR東日本 石巻線の車両です。この車両は、キハ110系気動車です。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』女川駅(おながわえき),ならびにNHKオンライン現地発 明日へブログ女川町復興推進課による日記記事「待望のまちびらき」によれば(リンク先URLは2016年3月現在)東日本大震災の津波被害で駅舎や車両を流失したJR東日本 石巻線女川駅(おながわえき)かつてあった場所(地図))から内陸側に200m移転して、平成27年(2015年)3月21日に女川駅地図,住所:宮城県牡鹿郡女川町女川浜字(あざ)大原477-59)が開業したとの由です。このため、車両の行き先掲示板にも女川駅地図)の表示が載っていました。このような行き先の掲示状況にも、復興した様子が窺えて、とてもうれしく思いました。

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 以下の写真は、途中ですれ違ったJR東日本 石巻線ラッピング・トレインです。NHKオンラインNHK仙台放送局未来に向かって走れ!仙石線ゆめのまち列車ゆめのまち列車,ならびに石巻市ホームページ(石巻市役所)石巻線「ゆめのまち列車」が運行を開始しましたによれば(リンク先URLは2016年3月現在)、これは石巻線ゆめのまち列車であり、平成28年(2016年)1月18日(月)~平成29年(2017年)3月まで運行しているとの由です。

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 以下の写真は、JR東日本前谷地駅地図)で写した車両と、この駅の駅舎です。

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 以下の写真は、JR東日本 BRT 気仙沼線JR東日本BRTの前谷地駅地図)と、BRT 気仙沼線のバスの車両です。平成28年(2016年)2月訪問時現在BRTの前谷地駅地図)は、鉄道の前谷地駅地図)の駅舎を出て左側にあります。JR東日本 気仙沼線BRTによる仮復旧は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』気仙沼線,ならびに宮城県公式ホームページ(宮城県庁)みやぎニュースクリップみやぎニュースクリップ/JR気仙沼線においてBRTによる暫定運行開始(平成24年8月20日)によれば(リンク先URLは2016年3月現在)柳津駅地図)-気仙沼駅地図,住所:宮城県気仙沼市古町1丁目5-25)間は、平成24年(2012年)8月20日から暫定運用を開始したとの由であり、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』気仙沼線,ならびに宮城県公式ホームページ(宮城県庁)復旧・復興の進捗状況復興の進捗状況(平成27年7月11日版)(PDF版)によれば(リンク先URLは2016年3月現在)、平成27年(2015年)6月27日に鉄道との並行運行区間であるBRTの前谷地駅地図)-気仙沼駅地図)間の延伸運行を開始したとの由です。JR東日本気仙沼線大船渡線BRTについては、2016年3月現在JR東日本公式WEBサイトの中に特設ページ(特設画面)「気仙沼線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)」が設けられています。

→  JR東日本気仙沼線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム)(リンク先URLは2016年3月現在)

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 気仙沼市ホームページ気仙沼市震災復興サイト国等への要望平成26年(2014年)11月22日「JR気仙沼線・JR大船渡線の復旧・復興に関する要望書」(PDF版)によれば(リンク先URLは2016年3月現在)JR東日本 気仙沼線大船渡線東日本大震災の津波被災区間のBRT化されている区間の鉄道復旧工事費の平成26年(2014年)2月時点のJR東日本が提示した見積額は、気仙沼線の場合には現状復旧のみの場合が約300億円、安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費が約700億円、大船渡線の場合には現状復旧のみが約130億円、安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費が約400億円であるとの由です。安全・まちづくりの高台移転は必要なことであるとした場合でもJR東日本自身の意思決定によって決まった話ではなくJR東日本の立場から見れば外部環境要因であり、かつ自然要因ではなくヒト(JR東日本外部のヒト)の意思決定に基づくものであるため、前日・平成28年(2016日)2月21日(日)に同行してくれた友人の話,ならびに同情報源によれば、JR東日本は、現状復旧部分の費用は自社負担する旨を明言しているものの、その金額と安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費との差額・差分(気仙沼線は約400億円(=約700億円-約300億円)、大船渡線は約270億円(約400億円-約130億円))については、JR東日本は公的支援を要請したとの由です。

 国土交通省(国交省)公式WEBサイト報道・広報報道発表資料2015/07/22 「第2回大船渡線沿線自治体首長会議」及び「第2回気仙沼線沿線自治体首長会議」の開催について,  2015/12/22 「第3回大船渡線沿線自治体首長会議」及び「第3回気仙沼線沿線自治体首長会議」の開催について,ならびにJR東日本プレスリリース2016年3月2日 東日本大震災関連復旧工事および大規模地震対策の進捗状況について(PDF版)によれば(リンク先URLは、いずれも2016年3月現在)、平成27年(2015年)7月24日(金)の国交省主催の第2回沿線自治体首長会議でJR東日本は、「被災地の復興まちづくりが本格化する中、地域が更に発展していくために、復興に貢献する持続可能な交通手段」としてBRTを継続して運行(本格復旧)すること、即ち言葉を飾った作文抜きに申せば鉄道による本格復旧は断念することを提案したとの由です。同情報源によれば、同年12月25日の国交省主催の第3回沿線自治体首長会議で、気仙沼線については本吉郡 南三陸町,  登米市とめし)とBRTでの本格復旧を受け入れることで合意し、大船渡線については沿線自治体全てとBRTでの本格復旧を受け入れることで合意し、気仙沼線沿線都市として気仙沼市との間では仙台市へのアクセスや地域振興の点などで協議を継続することになったとの由です。前日・平成28年(2016日)2月21日(日)に同行した友人の話では、この鉄道による本格復旧の断念は、上述の安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費と現状復旧部分の費用との間の差額・差分について、公的支援が得られなかった7ことが原因であるとの由です。なお、訪問後、当日記記事を書いている間にさらに状況の変化があり、平成28年(2016年)3月18日(金)の日本経済新聞の42面記事「気仙沼線、鉄道復旧を断念 市、代替バス受け入れへ」によれば、BRTによる本格復旧に最後まで同意していなかった気仙沼市も、ついに同意したことが、平成28年(2016年)3月17日に判明したとの由です。

 以降の数段落で、鉄道による本格復旧が断念されたことについての、の所感を述べます。

 品川雅彦三陸鉄道情熱復活物語 笑顔をつなぐ、ずっと‥三省堂,2014年7月)p.240によれば、東日本大震災で鉄道が被災しながらも復活を果たした三陸鉄道解説)社長の望月正彦氏の言葉に「鉄道が廃止になって、栄えた町はどこにもない」という発言があるとの由です。冨手淳線路はつながった 三陸鉄道復興の始発駅』(新潮社,2014年)p.43によれば、望月正彦氏は「鉄道が地域にとって必要なのか」考えたとの由であり、上記の発言は、その末に出て来た判断であろうと推測します。望月正彦氏の発言に対して実例を挙げて補足すれば、の第二の故郷であり、地域産業振興を研究テーマとする経営学徒としてのの研究対象地域である鹿児島県の実例で申せば、人口統計や経済統計等をキチンと調べて裏を取った上での話ではなく、きちんと因果関係について述べる仮設モデルを設定して分析した上での話ではありませんが、昭和62年(1987年)3月14日に廃線になった国鉄大隅線沿線の鹿屋市かのやし)や肝付町きもつきちょう)等の大隅半島は鉄道過疎地と化したために鹿児島県内でも「陸の孤島」のイメージが付いて地域振興や観光振興に苦労しています。また、昭和62年(1987年)1月10日に廃線になった国鉄宮之城線や昭和63年(1988年)2月1日に廃線になったJR九州山野線沿線の伊佐市では、dot.(ドット)週刊朝日2015年3月6日号記事「東大合格なら100万円」市長が批判に反論伊佐市ホームページ企画政策課(PDF版)第2回 伊佐市議会 臨時会第1日目議事録(平成26年11月11日)(PDF版),ならびに南日本新聞・373news.com2016/03/02記事「伊佐市、大学進学奨励金を交付 初の100万円受給者も」等によれば(リンク先URLは、いずれも2016年3月現在)、鉄道過疎地と化した後に地域の衰退が進んで地域の県立高校が将来の廃校のリスクに直面したり、その結果の高校生の消費による地域の商業への産業連関波及効果が消失してしまうリスクに直面した結果、難関大学・国公立大学等に合格した者への奨励金の交付を高等学校振興事業予算の中で平成26年度(2014年度)から行うに至ったとの由です。

 原武史震災と鉄道』(朝日新書,2011年10月)p.64によれば、震災による鉄道の不通によって最も不利益を被るのは、車の運転ができない老人や列車通学の高校生であるとの由であり、実際、出典がいつの号のいつの記事かは失念しましたが、過去の『鉄道ジャーナル』誌で読んだ記事によれば、昭和(1926 年12月25日~1989年1月7日)の時代に鉄道が開通した地域では、交通過疎地だった時期には所得が低いために遠隔地の高校進学を諦めていた家庭が多 かった地域で、安価な交通移動手段である鉄道が開通したことによって、高校進学率が上昇したという内容が載っていました。今日でも赤字ローカル鉄道路線の 主な利用者が、通学定期利用者であることは、鉄道の事情に詳しい人にとっては共通の常識的認識と化しています。は、「結果の平等を保証する必要性はないが、機会の平等は保証される必要性がある(ただし、結果の平等についても『最低生存線を割り込んでいたりしない限り』というただし書きは必要であり、セーフティーネットが機能することは必要と思量)。」と考えていますので、この高校進学率の観点から見ても、鉄道は社会インフラとして必要であると考えています。また、まちづくりの地域振興の見地から鉄道が地域にとって必要である旨は、宇都宮浄人地域再生の戦略 「交通まちづくり」というアプローチちくま新書,2015年)にも載っています。

 上述で述べた鉄道のメリットは、或る地域内だけの視点によるものですが、は、鉄道は、地域内の需要や利便性だけでなく、「地域外の潜在的顧客を地域に呼び込む」という視点からも重要だと考えています。それは、「地域外の人にとっては、鉄道路線は見えますが、バス路線は見えない」ということです。「電車をはじめとする公共交通機関と徒歩での移動が生活県内の移動手段である」首都圏の人等の中には、「普段電車通勤をしているために車を使っていない人の中で、車を邪魔だと思ったり首都圏の不動産環境上駐車場を確保できなかったりするために車を持っていなかったり、車の免許を持っていなかったりする人」が、一定の割合でいます。マーケットセグメンテーションの1ターゲットセグメントとしてこのような人達を潜在顧客として想定した場合、ビジネス訪問客であれ観光客であれ、鉄道が無い地域への行き方は「地元住民以外の人には、鉄道は見えてもバス路線は見えない」ためにイメージが湧かなかったり、イメージが湧く場合でも鉄道の時刻表に加えてバス路線の時刻表まで調べることは調査のための作業工程が増えて面倒臭かったりするため、余程強力なキラー・コンテンツがある場合を例外として除けば、鉄道がある地域に比べると鉄道が無い地域は首都圏の客を呼ぶに際しては競争劣位と化すリスクが想定可能であろうと、考えます。また、或るヒトが或る時点で複数の場所に同時に存在することは物理的にあり得ないため、或る地域に他地域からヒトが来てくれるということは、即ち他の地域にはその時点にはそのヒトは行っていないということを意味します。このような点に基づけば、企業誘致であれ観光客呼び込みであれ、地域はそれぞれが互いに市場競争上のライバル関係にならざるを得なくなりますので、この「鉄道が無いため、地域外の人からは見えない地域」という状況は、地域がサバイバルしていくためには、余程強力なキラー・コンテンツがある場合を例外として除けば、不利な状況をもたらします。

 上述の「鉄道に関する地域間競争」には傍証となる実例があり、それは、岐阜県 岐阜市この辺り(地図))で、平成17年(2005年)4月1日に名古屋鉄道(名鉄) 岐阜市内線美濃町線等の岐阜市内外の鉄軌道が廃止になり、それに先立つ平成11年(1999年)4月1日に美濃町線新関駅地図,住所:岐阜県関市栄町1丁目)-美濃駅地図,住所:岐阜県美濃市広岡町)間6.3kmが廃止になった事例です。「鉄道に関する地域間競争」だけでなく「鉄道がなくなったこと自体」の影響も含めての話になりますが、この点について詳しく見ていきましょう。国土交通省公式WEBサイト国土政策>アーカイブ(過去の情報)国土施策創発調査費平成16年度 国土施策創発調査費 報告書一覧鉄軌道、中心市街地の活性化による公共交通を中心とした地域づくりに関する調査第3賞 岐阜市の調査p.3-12掲載の「(4)鉄軌道廃止後の柳ヶ瀬地区への買い物」の「図27 鉄軌道廃止後の柳ヶ瀬への買い物頻度の変化」によれば(リンク先URLは2016年3月現在)名古屋鉄道(名鉄)の岐阜市内外の鉄軌道路線廃止時点の平成16年(2004年)の利用者に対して、廃止岐阜市の中心市街地・柳ヶ瀬この辺り(地図))の利用について尋ねたアンケート調査結果は、「利用しなくなる」25.3%,「利用する割合は下がる」26.8%、計52.1%が利用を減らす回答であったとの由です。関に電車を望む会ブログ転載の本多義明主幹『関・岐阜間LRT導入必要性調査(関のまちづくりと交通)報告書』(関商工会議所・株式会社トーニチコンサルタント・財団法人地域環境研究所,2008年3月)(2)現況資料・データ(PDF版)掲載のアンケート調査の「3) 買物場所の変化」によれば(リンク先URLは2016年3月現在)名古屋鉄道(名鉄) 美濃町線沿線の岐阜県 関市(せきし)この辺り(地図))市民の市外への買物先は、美濃町線廃止前の平成8年(1996年)と廃止後の平成18年(2006年)で比較した結果では、岐阜市中心市街地に行く人が減って、代わりに名古屋市に行く人が増えたとの由です。とりあえず、のブログ「[路面電車がなくなって]-asahi.com : マイタウン岐阜 企画特集」  岐阜の交通と路面電車問題孫引きの「朝日新聞の連載記事(岐阜版)」記事の内容によれば、柳ヶ瀬この辺り(地図))の或る商店経営者は、平成17年(2005年)4月1日に廃止された名古屋鉄道(名鉄)鉄軌道路線中の揖斐線を利用して来てくれていた馴染み客から、「(揖斐線が廃止になるので、)もう、この店には来られない」と言われてしまったとの由です。加藤博和名古屋大学 大学院環境学研究科 都市環境学専攻空間物質系))なぜ鉄道廃止代替バスは乗客を減らすのか? -その検討プロセスが抱える問題に関する一考察-(PDF版)土木学会 土木計画学研究委員会土木計画学研究・講演集第31回(2005))によれば、平成17年(2005年)の名古屋鉄道(名鉄)の岐阜市内外の鉄軌道路線廃止後、代替バスの乗客は減ったとの由です。岐阜市ホームページ(岐阜市役所)(1期)岐阜市中心市街地活性化基本計画2.中心市街地の位置及び区域p.51によれば(リンク先URLは2016年3月現在)岐阜市この辺り(地図))の中心市街地の小売業年間商品販売額は、平成17年(2005年)の名古屋鉄道(名鉄)の岐阜市内外の鉄軌道路線廃止時点の平成16年(2004年)には71,089百万円であったものが、鉄軌道路線廃止時点の平成19年(2007年)には54,674百万円に減少しています。ただし、同市の中心市街地の小売業年間商品販売額は、例えば「モータリゼーションによって中心商店街が郊外ショッピングセンターとの市場競争に敗れた」等の要因も存在するために、鉄軌道路線廃止の有無とは無関係に長期的にずっと減少していますので、この減少原因の全てが鉄軌道路線廃止によるものである訳ではないという要注意点も踏まえた上で減少原因を分析する必要はあります。とは申せ、いずれにせよ、平成17年(2005年)の名古屋鉄道(名鉄)の岐阜市内外の鉄軌道路線廃止の結果、岐阜県 岐阜市この辺り(地図))の中心市街地の商業の衰退が進んだ可能性は否定できず、少なくとも、岐阜県 関市この辺り(地図)市民の買い物先については、岐阜市中心市街地は名古屋市に顧客を取られてしまったとは言えることが分かります。

 岐阜県 関市この辺り(地図))市民の買い物先が岐阜市から名古屋市に代わってしまった事例から分かるとおり、鉄道がなくなることによる悪影響は、「地域住民の足」という直接的な影響だけにとどまらず、「よそから来るかも知れなかった客を、他の地域に奪われる」という影響があり得ます。このような影響の結果は、地域の産業の売上高の減少要因となり、その結果、地域の雇用が減って失業者が増える要因となるリスクがあり得ます。先述した三陸鉄道解説)社長の望月正彦氏の「鉄道が廃止になって、栄えた町はどこにもない」という発言は、先述した沿線の交通弱者への公共サービス提供という見地からだけにとどまらず、このような「他地域との市場競争における、地域のマーケティング戦略」の見地からも、そのとおりであるとは思います。

 しかし、このような鉄道のメリットには、鉄道経営上の深刻なデメリットも伴うものです。その理由は、鉄道があることによる先述のようなメリットは、外部経済効果であるため、鉄道会社にとっての収入にはならないという点です。メリットを地域に与えても自社自身の収入にはならないのです。したがって、鉄道会社は赤字になりがちです。さらに、この外部経済効果は、「鉄道に乗らない地域住民も、メリットが得られる」という性質を伴うものであり、これは、消費の非競合性と消費の非排除性とを併せ持つことを意味するものと、私は考えます。消費の非競合性と消費の非排除性とを併せ持つということは、それは即ち、鉄道事業は公共財だということを意味します。即ち、鉄道事業は、市場の失敗に当てはまる公共財だということになりますので、過疎地地域では、鉄道会社は、「地域に与える外部経済効果」に見合うだけの事業収入を得られない「一方的な奉仕」状況に陥り、経営が苦しくなってしまうという訳です。

 宇都宮浄人地域再生の戦略 「交通まちづくり」というアプローチちくま新書,2015年)は、本来は公共財である鉄道等の公共交通機関の運営が、他国の事例に比べると日本では民営企業に委ねられた上に、公共財である点を無視して自社の事業収益が黒字か赤字かだけが問われる風潮があることへの反論姿勢で書かれています。前段落の理由故に、私も賛成です。外部経済効果の利益が自社で得ることができなくても、或る程度事業が成り立つ大都市地域以外の地域では、なんらかの公的支援抜きには鉄道経営が成り立たちません(路線バスのバス会社も同様)。このメカニズムによって鉄道(だけでなく、バスも)路線が廃止になると、地域への公共財の供給は、過少供給になってしまいます。もちろん、「空気しか運んでいない路線」と化した路線を維持することはさすがに過剰供給ですので公的支援にも限度があり、「どこまでは公的支援して、どこから先は行わないのか」というバランス感覚が必要になりますが、公共財である以上は、過疎地域の公共交通機関の運営を民営会社による市場メカニズムだけに委ねるとサービスの過少供給になる点に相違はありません。

 ところで、「鉄道に乗らない地域住民も、メリットが得られる」という「鉄道事業が公共財であることによって、地域が得られるメリット」は、間接的効果であるが故に地域住民には直接的な実感が湧き難いものです。特に、普段自分が鉄道を利用しない方にとっては、「全く」と申しても過言ではない程に実感が湧き難い影響です。このため、鉄道やバス路線廃止の際に事前に地域住民の意見だけを吸い上げるアンケート調査を行うと、地域住民が、間接的影響については将来自分たち自身にとって不利益になる意思決定をしてしまいがちであるというリスクが、あるのではないかと思います。鉄道に対する公的支援、即ち言葉を飾らずに申せば税金投入に関しては、「上述のような『地域外客獲得のための、他地域との間の地域間競争』の見地からのメリットを鉄道から間接的には受けていても、普段自分が乗らないために、必要性を実感できない住民」の反対意見が一定の確率で発生し得ることは、火を見るよりも明らかに想像可能です。ましてや、「公的支援」とは言葉を飾らずに申せば「税金投入」であるため、「自分自身へのメリットは間接的にも存在しない、地域外の国民」の場合、直接的な実感が湧き易い他の被災地支援事案と比べて、直接的な実感が湧き難く間接的な「鉄道があることのメリット」である鉄道会社への補助は、三陸鉄道解説)のように共感を湧き易い場合を例外として除けば、賛同を得られにくいという課題もあり得ると思います。

 JR東日本 気仙沼線大船渡線東日本大震災の津波被災区間の鉄道での本格復旧断念を断念した「公的支援」が得られなかったことの原因は、直接的には原武史震災と鉄道』(朝日新書,2011年10月)p.58によれば、JR東日本は黒字企業であるために国庫補助の対象外だからです。さらに「では、国庫補助の対象外である理由は何か?」まで掘り下げて考えれば、その公共経済学的な見地からの原因には、前段落までに述べたような発生メカニズムがあろうかと私は思います。JR東日本は なまじ黒字企業であるため、法制度以前の国民感情として、「何故、我々の税金が原資である国費を投入するのか?」という反対意見が生じる可能性があるため、それに備えて法制度上も黒字企業だと国庫補助の対象外と化したのであろうことは、確認した上での事実ではありませんが、容易に推測可能と考えます。また、或る路線で公的支援を行った場合、公平性の見地からは次回以降の別の路線でも公的支援せざるを得なくなり、「次回以降も維持可能な政策か?」という点も、国としては検討せざるを得なくなります。このような見地も踏まえた上で公的支援の是非を検討した結果、「国は、実施したくても実施できず、やむを得ず断念した」可能性もあり得ますので、公的支援が無かった点に関して、事実を確認することもせずに軽々に「国は冷たい」と断じるのは早計であり、実はそうではない可能性もあり得ます。

 しかし、黒字企業であるとは申せ赤字ローカル線に関しては、首都圏や鉄道以外の事業等の黒字体質部門における黒字を内部補助を行うことによって企業全体で収益の辻褄(つじつま)を合わせているに過ぎないため、黒字体質部門からの内部補助で補える範囲を超えてしまった設備投資は、物理的に実施できないであろうと考えます。先述したとおり、JR東日本が現状復旧部分の費用は自己負担しても、安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費とそれとの間の差額・差分については公的支援を求めたのは、企業財務の見地からは、やむを得なかったのであろうと私は考えます。さはさりながら、先述した三陸鉄道解説)社長の望月正彦氏の「鉄道が廃止になって、栄えた町はどこにもない」という発言に賛同する私としては、鉄道は外部経済効果が大きい公共財であるため、「初期の設備投資の中で企業が負担可能な範囲を超えた部分についてのみ公的支援を行えば、日々の運営の収益については企業内黒字部門からの内部補助で赤字補てんが可能である」場合には、公的支援を行った方が良かったのではないか、と私は考えます(注)。本来であれば、この辺りの費用負担割合が、「公共財市場の失敗によって過少供給になるリスクと、一方逆に、公共財であることを口実にして過剰供給と化すリスクとの間のバランス」を考慮した落としどころなのではないか、と私は考えます。このような観点からは、「公的支援が行われなかったために、JR東日本 気仙沼線大船渡線東日本大震災の津波被災区間で、鉄道の本格復旧が断念されてしまったことは、極めて残念なことであると思います。
(注)「国費投入」については様々な異論もありましょうが、当文書掲載先は政治目的のものではないため、この点についてのコメントは、賛成意見も 含めて、しないで下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。経済学における自然法則はヒトの意見に関わらず社会科学分野であるとは申せ物理学や化学と 同様に物理的に存在するものですが、「その法則に基づいてどのような経済政策判断を下すか」という応用の局面・工程では、ヒトによって意見が異なり得、自 然法則に反しない限り、「その内のどれかが絶対的に正しくて、他の意見はダメだ」ちうことは、ありません。したがって、「意見の部類に属する話」について は、私はここで、「経済学と経営学の両面からの見地では、このような見方もあり得る」という考え方を、知っていただきたくために提示したものであるに過ぎ ず、自分の意見を他者に押し付ける意図もありません。誤解を避けるべく、念のため。

 国の財政制度・システムの見地からは、国の財政支出は「目的外使用」は厳禁であることの例外として、縦割り行政の弊害を克服して道路財源を鉄道に流用することはできなかったのか、とも思います。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』三陸自動車道によれば、JR東日本 気仙沼線大船渡線の地域には、2016年3月現在三陸自動車道の工事が進められています。「たられば」の話をすれば、例えば三陸自動車道の幅を少し広くした上で、中央分離帯の位置に「移転復旧させたJR東日本 気仙沼線大船渡線の中の、都市部ではない郊外地域部分」を設けたりすることも可能だったのではないか、と思います。これは技術的には既に先例があり、大阪府北大阪急行電鉄 南北線は、地域高規格道路新御堂筋の車線の間を走っています。このような路線構成に変更することを口実にして、道路財源を鉄道建設に回すことが選択肢にもしもあったら、鉄道復旧もあり得たの かも知れないと夢想したりもします。ただし、この場合、もしも万一実現可能であった場合でさえも、旧鉄道駅から大きく路線が外れる駅が生じ得るため、BRTによる代替案に比べて、存外マズい手であるリスクもあり得ます。うーん、やはり、時間を巻き戻せても、この手も難しいなぁ・・・。変な手を抜きにしても、高台移転を考慮した総工事費と現状復旧部分の費用との間の差額を、道路財源から回せなかったのかなぁ・・・。もう決まったことは覆せないので、前段落のとおり「やむを得なかった」と分かったうえで、やはり、残念です。

 鉄道による本格復旧は断念せざるを得なかった旨を、残念に思いながらも既に与件であるとして考えた場合には、鉄道の代わりにBRTを本格復旧が行われることは、結論から先に申せば良かったことと思います。その理由は、「『鉄道を本格復旧するというベストの手段』がダメならば、代わりにセカンド・ベストで」という理由であると同時に、「『BRTという代替手段でさえもなくなるという、ワーストの状況』に比べれば、セカンド・ワーストの方がまだマシだ」という理由によるものです。ただし、1点だけ、要望があります。それは、BRT区間を鉄道類似路線として今後も地図と鉄道時刻表に載せ続けて欲しいということです。理屈や口実をいくら設けても、BRTが物理的には「バス」であることには何ら相違はないため、地図にも鉄道時刻表にも載らなくなってしまった場合、通常のバス路線と同じになってしまいます。このことは、マーケットセグメンテーションの1ターゲットセグメントとして首都圏から被災地に行く潜在顧客の内、「はじめに鉄道ありき」のタイプの人々を考慮した場合、先述した「地元住民以外の人には、鉄道は見えてもバス路線は見えない」メカニズムにより、公共交通機関であることによる外部経済効果は得られても、鉄道であるが故の外部経済効果は得られなくなってしまうでしょう。言い換えれば、地域住民をターゲットセグメントとした外部経済効果は得られても、「ビジネス上の来訪客であれ観光客であれ、他地域から客を呼び込むことにより、地域に産業連関波及効果をもたらす見地から、他地域との間の地域間競争で競争劣位と化すことを免れる」という外部経済効果は得られなくなってしまうでしょう。「今後も地図と鉄道時刻表に載せ続けて欲しいという」という要望は、このような問題発生への未然防止策になり得ることが理由です。ただし、地図や鉄道時刻表に載せるか否かについては、これは沿線の地方公共団体やJR東日本の意思決定で行われることではなく、それらとは異なる組織の意思決定で行われることであるため、そのような意思決定に携わる方々に対して、「お願い」をすることはできても、それ以上のことはできないため、歯がゆさを感じます。地図については、民間の地図会社も、国土地理院発行の地形図に基づいて地図を作っている旨は容易に想像可能であり、国土地理院は政府の1行政機関であるため、1国民としては、政治家に働きかけて投票の場で選挙権を行使することにより、「BRT区間を地図に載せる」ことを間接的に要望することは、可能であるかも知れません。

 私がJR東日本 気仙沼線 BRT区間に乗った理由は、上述のような思いから、現状を見てみたいと思うと同時に、言葉を選ばずに申せば「乗降客としてカネを落とすことにより、被災地復興を客の立場で応援したい」と思ったからです。

 以下の写真は、JR東日本 BRT 気仙沼線の車窓から写した、JR東日本 気仙沼線の鉄道再開区間の終点・柳津駅(やないづえき)地図,住所:宮城県登米市津山町柳津字谷木196)です。柳津駅地図)は、宮城県 登米市とめし)にあります。登米市も、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災の被災地域です。

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 宮城県 登米市の観光案内等については、以下のリンク先でお調べいただけます。

<登米市>

→  【楽天トラベル】登米市のホテル・旅館の検索結果一覧

→  「とめ日和」-(一社)宮城県登米市観光物産協会オフィシャルウェブサイト

→  登米市観光物産協会公式Facebookページ

→  みやぎの明治村・登米(とよま)((株)とよま振興公社)
(平成17年(2005年)4月1日の市町村合併以前の、登米市登米町(とよままち)地域の観光案内)

→  登米市ホームページ(登米市役所)

<宮城県全般>

→  【楽天トラベル】宮城県の宿泊予約・旅行案内

→  【楽天トラベル・温泉宿予約】宮城県の温泉地

→  【楽天トラベル・たびノート】宮城県の観光スポット

→  宮城まるごと探訪((公社)宮城県観光連盟)

→  笑顔咲くたび 伊達な旅 仙台・宮城(仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会公式サイト)

→  みやぎ復興ツーリズムガイド

→  みやぎ観光復興支援センター スタッフブログ

→  宮城県庁

<東北全般>

→  【楽天トラベル】東北の宿泊予約・旅行案内

→  東北物語(観光庁東北物語事務局)

→  旅*東北(東北観光推進機構)

→  三陸復興国立公園(環境省)

→  東北・夢の桜街道(東北・夢の桜街道推進協議会)

 

 

(今日の日記内容とは無関係ですが)
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